NexGen Nx586
NexGen Nx586 (32bit CPU)
PGA 463P、Address bus 32bit, Data bus 64bit.

Clock 70/75/84/93/102/111MHz.

C-MOS 設計ルール 0.5um/0.44um、トランジスタ数 3,500,000.

1994年5月発表.




NexGen Nx586FP
NexGen Nx586FP (32bit CPU)
463P PGA、Address bus 32bit, Data bus 64bit.
Clock 102/111MHz,
C-MOS 設計ルール 0.44um、トランジスタ数 3,500,000(CPUのみ)
1995年11月発表

 米国のベンチャー企業 NexGen社が開発した Pentium互換プロセッサがNx586です。
NexGen社はCompaq社や日本のACSII社から資金提供を受け、新型のCPUを開発していました。
 その最初の製品がNx586です。

 Nx586は命令コードがPentium互換のプロセッサで、内部構造やシステムバスの構造は
Pentiumとは全く異なっていました。
 その為、専用のChipSetがNexGen社から供給されました。

 Nx586はスーパスケーラのRISCによく似た構造になっており、Pentiumのx86命令を
RISC86命令に変換して実行します。
 変換されたRISC86命令は同時に2命令(Nx586FPは3命令)まで実行することができました。
 Nx586は外部クロックの2倍の周波数で動作します。
上の表記はCPUコアの周波数を示します。
 Nx586は同周波数のPentiumよりパフォーマンスが高いことを売りにしており、動作周波数ではなく、
Pentiumに換算したパフォーマンス周波数で表記されました。
以下にCPUコア周波数とパフォーマンス周波数の関係を示します。

パフォーマンス周波数コア周波数外部周波数
PR7570MHz35MHz
PR8075MHz37.5MHz
PR9084MHz42MHz
PR10093MHz46.5MHz
PR110102MHz51MHz
PR120111MHz55.5MHz

 このページのNx586はパフォーマンス周波数100MHz版ですので、実際のコア周波数は93MHzで
動作していることになります。

 Nx586はOnーChipで16Kbyteの命令キャッシュと16Kbyteのデータキャッシュを持ちます。
これらのキャッシュメモリーは一次キャッシュメモリーとして動作します。
Nx586は二次キャッシュメモリーとして外部に256Kbyteか1Mbyteを使用することができました。


 Nx586は浮動小数点演算機能を内蔵していません。そのため浮動小数点演算を行うには
Nx587浮動小数点コプロセッサを接続しなければなりませんでした。
 1995年に発表されたNx586FPはNx586とNx587をひとつのパッケージに収めた、
マルチパッケージ品で、見かけ上浮動小数点演算機能を内蔵したことになります。
 余談ですが、Nx587は製品として出荷されたのでしょうか?
当時のニュース等を読みますとサンプル出荷された様ですが、実機の写真を見たことがありません。
NexGen社のデータブックの表紙にそれらしい写真があるくらいです。
NexGen社のリファレンスマザーボードを所有していますが、Nx587を実装するようなICソケット類は
見当たりませんでした。

2004年3月14日追記
 今年になってコレクターサイトやオークション関係でNx587を見かけました。やっと単体の写真を見ました。
で、この度目出度く入手!。
 後はマザボかな。Nx587対応のマザボも資料&写真が無いねえ。


 Nx586は話題にはなりましたが、ほとんど普及しませんでした。
原因として、バスが特殊(NexBusと呼ばれた)なため、特別なマザーボードが必要であったことと、
NexGen社はいわゆるファブレスメーカで、自前で生産工場を持たなかったために供給面で不安があったためです。
ちなみに、Nx586はIBM社が製造しました(Nx586FPの表面をご覧ください)。
 また、性能面でもPentiumに対しアドバンテージが少なかったことも普及しなかった要因と言えるでしょう。

 NexGen社はNx586を大幅に改良したNx686を発表します。
しかしながら、1995年末NexGen社はAMD社に買収され発売はされませんでした。
このNx686をAMD社が改良して商品化したのがK6シリーズです。
K6シリーズはK6、K6-2、K6-IIIと発展し広く使用されました。


初期版のNx586  左は最近入手したNx586。
PR80版です。


裏面  裏にはしっかりとIBMのロゴがありますね。


2つのNx586比較  2つのNx586を比較してみました。左がPR80、右がPR100です。
真中の金属部分の大きさがぜんぜん違いますね。PR100版の方がふた周り
程大きい感じです。
 あとは下側のロゴの書体が変わったことかな。


2つのNx586比較(横から)  横から見てみましょう。セラミック基板の厚みが違います。
PR100がPR80の2倍以上厚い感じがします。


秘宝館 32bitCPUへ戻る。